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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第12章 隠蔽工作は愛の味
「──リサ、俺はお前が居ないとダメなんだよ。失う事が怖いんだ、好き過ぎて……マジでどうしようも無えほど愛してる」
「だからこんな年齢になっても、サファイアが人気でも、帝国が天下でもお前の前ではただの男になって要らねえ嫉妬すれば、しつこく口煩い事を言ってしまう」
「だけど──でも──っ」
「俺はお前が居ないと死んだも同然なんだ」
「金が無い人生よりも、アボジと仲の悪い人生よりも……それよりも苦しいのはリサが側に居ない人生なんだよ」
「だから「いいから、顔上げてよ」
震えていく声を聞いてられなかった。
普段はあんなに冷静に物事を対処していく人なのに。
誰にも負けないくらいのセンスを発揮して手を出す分野全てで成功していく人なのに。
いてもたっても居られなくなった私は、何を言ってもやっぱり『テヒョンのお嫁さん』なんだろう。
彼の弱い姿をFBKの皆に見せたくなかった。
……それが嫁としての"見栄"だと言われればそれまでだけど。
思わず抱きしめた彼の背中はいつもより小さく見える。
「そんな事言わなくても良いから」
「……全部知ってるし、予想もついてた」
「だからいちいち、この子達の前で言わなくて良いんだよ」
「──っだけど、俺は!」
「私がいいって言ったら良いの。」
「ソン・テヒョンっていう超人の唯一の弱みは私でしょ?その事は私だけが知ってれば良いの。サファイアのメンバーにも子供たちにもアボジにも見せなくて良い」
「私が全部──」
「──はあっ。……全部受け入れるから」
「だから、貴方の弱みは私にだけ見せてよ」