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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第12章 隠蔽工作は愛の味
「例えば、リサが人を殺したとするだろ」
「本当の理由は"バカにされたから"だとしよう。でも書類上では"子供を誘拐されかけて、それを阻止しようとした結果、相手は事故死"だとなる」
「つまり正当防衛、になるわけだ」
「──どういう事ですか」
「お前らん所の組織は五人分の五つの組織合わせて幾ら資産が有る?どれだけの人脈が有る?」
「そこに「そんなの無理ですよ、何てったって俺らはマフィアだ」
「ちげえよ。お前らはマフィアじゃないだろ」
「お前らの親はそうかもしれない、お前らを食わせてきた金は確かに"汚い金"かもしれない。だけども親は親だろ、金は金だろ」
「第一に、必死に練習して努力してMAフェスの大トリまで掴み取った『お前ら五人自身』はマフィアでも何でも無えただの青年五人じゃねえか」
「何怖気づいてんだよ、今までの威勢はどうした?あぁ?」
「お前ら忘れてんじゃねえのか」
昔読んだ本に『My Crazy Part time job』みたいな名前の小説があった。
いつだっただろう……確か日本で現役バリバリで働いてる時に飛行機の中で読んだんだっけな。
お父さんが内閣機密機関か何かのトップで、二十歳の女の子が生まれた家庭そのものに疑問を抱きながらも"内閣"が邪魔だと判断した人間を処理していく小説だった。
勿論、その主人公の女の子は何人の人を殺しても下半身不随なんかにさせても罪には問われない。
実際にはそんな事なんて──有り得ないと思っていた。
人を殴れば罪になる、人を殺せば罪になる……と。
だけど、テヒョンの先の言葉が読めるからこそ、今の私は過去にない位背筋が伸びているんだろう。