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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第12章 隠蔽工作は愛の味


「俺はお前らの"Sfireのヒョン"である前に、帝国財閥のヒョンなんだ」

「イルトの過去なんて無かった事に幾らでも出来るんだよ」



「──ッ、それって」



「そうだ、隠蔽だよ」

「───でもな隠蔽には二つある」


「一つは善良な市民を殺したのに、己やその側近の立場が危うくなるからと殺人を隠してしまう"暴かれるべき隠蔽工作”だ」

「もう一つは……」


「殺されるべき人間が殺されて、己やその側近の"未来"を守るための隠蔽工作だ」


「チェ・クゥの身元を調べた。アイツはレイプで三回の服役過去が有る。その他にも警察に捕まってないだけで大麻の売買やら人身売買……まあ、女を『宿』に売り込んだりする散々な事をハンソン兄弟と手ぇ組んでやってたらしい」

「しかも売り飛ばされた女もレイプされた女も皆、女子高生とか普通に勉強して普通に恋愛すべき様な子ばっかりだったらしいぞ」




「お前らも大人なら分かるだろ?」



「これがどっちの隠蔽になるのか」



「だけどッ!そんな事したらヒョンが……。ヒョンが苦しくなります!」

泣きそうな声を上げるのはジュンだった。


「俺はな、愛するリサを必死に助け出そうとしてくれたお前らには一生足向けて寝れねえんだよ」

「俺が……イルトでも同じことをするだろう、と思う」



「イルトがチェ・クウを殺した事を一緒悔やみ続けて、お前らも殺人を止めれなかっただの傍観者になっちまっただの、そんな事を一生悔やみ続けてって言うならな……」

「俺もお前らのヒョンだ。『隠蔽工作』仕掛けた事を、一緒に悔やみ続けてやるよ」



「それでこそ、俺はヒョンだしお前らは俺の可愛い後輩であり、リサが命賭けて守ろうとした大事なグループのメンバーだろうが」



──やっぱり。


───やっぱり、ソン・テヒョンはどこまでいってもソン・テヒョンだ。



今の私の胸にはその言葉しか浮かばなかった。


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