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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第12章 隠蔽工作は愛の味
13時といえば、この季節は一番太陽が照りつける時間帯だ。
少し目を細目ながら彼の腕に自分を腕を回した。少しずつ小さくなっていくジェジュンの家だけど、それでも周りの家と比べると段違いに大きい。
「運転手さん帰らせて良かったの?」
「たまには良いだろ、二人で歩いて帰るのも。そんなに遠い距離じゃねえんだし」
「そうだけど……。」
久しぶりだな、と思う。
付き合ってた頃は、やっぱり彼の仕事柄こんな風に堂々と腕を組んで歩くなんて出来なかった。
公表してからも、やれ右翼だサセンだ──と害が有ったのは確かだし結婚してからはテテとアイが居た。
こうやって、腕を組んでお互い顔を隠すことなく普通に町を歩けるなんて……嬉しいようで、でも未だに慣れてはいないから緊張もする。
通りすがるカップルやマダム達が私たちを二度見しては、ゆっくりと振り返り見つめてくるのが背中越しに分かる。
私も安倍さんとその奥さまが、今目の前から腕を組んで歩いて来たらきっと同じことをするだろう。
「俺、お前に無理させ過ぎたんだと思う。」
「えっ?」