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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第13章 夢の大舞台
それを思い出した私はジュンに、あの日ジェジュンの家で行われたテヒョンと私たちの素直な思いや意見を録音させておいたのだ。
そして、案の定それを聞いてくれたイルトは直ぐに会長と私たちに連絡をくれた。
──もう一度、FBKとして頑張ります。天下、取ってみせます、と。
「まあ、あいつらが出る番組は軒並み視聴率良いもんな。この前の歌謡祭だってドリームボーイズの所よりも視聴率とツイッターの投稿率が高かったんだろ?」
「そうよ。新曲のDEEP NIGHTは彼らの最高のデビューシングルなの。」
「今までにないロックなメロディーと彼らの強めの衣装や髪型、日本風のダンスが何か知らないけど女の子達の心を掴んで離さないんじゃない?」
「だろうな。見たことがないからこそ、拒否反応を示す輩も居るがハマり込む人達もいる。」
「そうそう。キャッチーな曲は一度聞いたら飽きるからね。初めに、ん?と思う曲ほど、後から何回もリピートして……何年経っても口ずさめるものなのよ。」
「そんな強きなヤツらが、今日はじめてのバラエティーで、ぶっとんだキャラ出していくワケか。……俺も帰ったら録画してるの見ようかな」
「見ようよ、脚本もプロデューサーさん達と一緒に考えたしきっとあなたのツボにも合うはずよ。」
スタバのコーヒーを飲みながらそう言った時、前から懐かしい我が家族が手を振りながら歩いてくるのが見えた。
ほどなくして、開けられるベンツのワゴン車の扉。……こういう大人数で移動する時はセダンではなくワゴン車に限る。
少しだけ香った匂いは、妹が愛用している香水"キャバレー"独特の香りだった。
「ママぁ!」
「テテ!アイ!元気だった?」
「うん、元気「ほら、アンタら奥行って。アボジ真ん中でいいやろ?ユー・アー・センター」
関西弁混じりの英語で、アボジを一番後ろの席に追いやるのはそれこそ"強きな母親"だ。
ニコニコしながらうなずいて、一番後ろのど真ん中と云う何とも気分の悪くなりそうな席に文句ひとつ言わず座るんだから、アボジは本当に丸くなった。