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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第13章 夢の大舞台
両端には、リュックサックを背負ったテテとアイ。そして真ん中のシートにはクリスタルと母が我が物顔で座っている。
「久しぶりだな、クリスタル」
「久しぶりオッパ!」
「何だ?急に色気付きやがって、彼氏でも出来たのか?」
「ぜんっぜん!就活が忙しくて恋愛どころじゃないのよ。まだ内定貰えてないし、本当は韓国なんか来てる場合じゃないんだけどね」
「だからクリスタル、私は言っただろう。帝国グループに来れば良いだろう、と。ファッション関係ならコスメローマも有るしアミューズも買収したし何でも「もうッ!アボジ!」
「言ったでしょ!私は自分の力で就職して、出世するの!」
「いやあ、だけどな。クリスタルの場合は名字は普通の母方の名字だから皆、帝国の血筋だと分からないんだぞ。ワケの分からない男が引っ付いてくる可能性もあるし……」
「帝国にコネ入社したってバレた方が変な男は付いてくるじゃん!もお、本当に過保護なんだから」
「………。」
「浪人したけど、その間に沢山バイトしてやっと見つけた夢が"子供を色彩やアートを通じて笑顔にさせたい"ってもんだったの」
「それで一生懸命勉強して、今の大学に入って専攻で映画を学んでファッションも並行して学んだ!」
「あ!それなら私の知人にウォール・ムービーの社長が居るんだ「いい!!私は自力でここまできたんだから、これからも自力でやってみせる!!」
食い下がらないアボジは、どうしても妹を手の届く範囲で就職させたいらしい。
きっとクリスタルの本命はディズニーとか、そっち系なんだろう。……テヒョン達の伝を使えば、簡単に就職出来そうだけどな。とも思う。
でもそこは、さすが私の妹だ。
自分で配給会社含む沢山の会社に面接に行って根性を叩き直してる。
私の顔をみて、苦笑いをするテヒョンの瞳は『お前と一緒の性格してんな』という意味と……『アボジも相変わらずだな』という意味の両方が含まれてるんだろう。
軽くうなずいて、同調して見せると、それに満足したのか彼はハンドルを握り華麗な運転さばきで、空港のロータリーを後にした。