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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第13章 夢の大舞台

「──内容も内容なんだし、誰かに聞かれたらマズイのはアンタらでしょ。とりあえずちゃんと説明するから、楽屋に戻ろう?」

「ちゃんと説明するんだな?」

「するって言ってるでしょ。」

イルトの背中を押す様にして私たち六人は、用意されている楽屋に向かって歩き出した。


どうしてバレるんだろう?と思ったのも束の間、そういえば……いつもバレていたなあ、なんて。

テヒョンと喧嘩をした時も、私が生理で体調優れない時も──いつも、表情ひとつ声色ひとつで、誰かが気付いてくれていた。


そして、知らない間に薬を買ってきてくれたり、まるで誘導尋問かの様に私の心から愚痴や悩みを聞き出して、何も言わずに頷いてくれたり。

もちろんイルトは、彼の感情的にもかなり私の事を気にかけてくれているけれど、他のメンバーもみんなそうだった。


──強がって、一人で抱え込もうとした私だけどどうやら彼らより、そういう面では詰めが甘いのかもしれない。

だから今回も直ぐに電話が原因だとバレて、その相手がハンソン兄弟だと想像がついたのだろう。


思いの外、子供過ぎる自分を情けなく思いながら長い廊下を歩き続けた。

伏し目がちに何から説明するべきか考えていた時、頭に鈍い痛みが走る。

「っもう!急に止まらないでよ」

「着いたんだから仕方ねえだろ。ヌナこそ前見れねえくらい考え込んでんじゃねえよ。」

「……。」


今度は私が背中を押されると、沢山の香水と化粧品の香りがする楽屋に押し込まれた。

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