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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第13章 夢の大舞台
それとも彼らは、私が思ってる以上に色々なタチの悪い輩を見てきたんだろうか。思ったよりは驚きの表情や声色ではなく、本当に落ち着いていた。
だけども怒りというものは若さ故に隠せないみたいだ。
アリーが、チッと舌打ちをすると楽屋のムードが一変する。
「いや、まあ。世間話とか」
「そんな訳ねえだろ、どこの世界にリスク承知でわざわざ電話してきてお前と世間話するやつがいるんだよ」
「……。」
私はアンタらの性格を知ってるの、だからこそ言いにくいのよ!と言ってやりたい。
「ヌナ、ちゃんと言ってよ。」
いつもの可愛さが無いジュン。その代わり、どこか悲しそうな眼で私を見つめてくる。
こういう所があざといのだ。さすが、おばさんキラー。
「……簡単に言って良い?」
「話の内容が変わらねえならな。」
「──私とテヒョン、そしてアンタら同伴で神宮会と新家と話をさせてほしいらしい」
「それをさせてくれるのならば、人身売買は辞めるし、今拐ってる子供達も無事に返してあげる、と。」
「……それが向こうからの条件なの?」
「そうよ、ジェジュン。でも……分かるでしょ?これってあまりにリスキーなのよ。」
沈黙は正解を意味する。
痛いほどに、分かっていた。
「確かに一般のパパラッチはハンソン兄弟のことを知らない。でも調べたら分かるかもしれない」
「もっと言うと、神宮会のトップ──つまり、イルトのお父さんのことは誰でも知ってるのよ。」