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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第3章 共働きの財閥
ドサッという重たい音が聞こえると同時に顎を持ちあげられる。
ふかふかのソファーは私とテヒョン、二人分の体重で沈んでしまっていた。数センチの距離にあるテヒョンの顔は──さっきの五人の誰よりも色っぽくて格好良い。
「さすが、俺が選んだ女だよな」
「何よ、近いって……」
脇腹を沿う彼の冷たい手が、余計に私を熱っぽくさせる。
「俺とお前は薄い紙きれ一枚で夫婦になったんじゃない」
「うん」
「俺がお前に当たった事もあったし、お前が俺に当たった事もあった。何度もお前が韓国から出ようとした事も有った。俺も──まあ、お前に色々と心配させた」
「……。」
厭らしく動く手とは裏腹に彼の言葉は真面目そのものだ。
「だけどな、プレイボーイだった俺がここまで一途になれたのはお前だけなんだよ。他の女に言い寄られる事は未だに有る。女優もアイドルもどっかの国の金持ちの娘も」
「でも──ワンナイトでも抱きたいとは一切思わねえんだ、不思議だろ?」
「ジンもロイもルイもジミンも、皆モテるし未だに遊び回ってるけど……俺はそれを聞いて羨ましいとも思わない」
「愛すべきお前とバカ言い合いながら子供育てて、アボジと話して──そんで、こうやって時々リサをからかって、抱いて」
「それがすげえ幸せなんだよ」
「そんな遊び心も何も無い様な人生って思ってたけど──それが楽しく思えるのは一緒になって何年経っても俺がお前を真剣に愛してるからだ」
「……。」
「だから独占欲とかそういうのは三十越えてもお前に対しては未だに有るし、さっきもあんな格好良い男五人と話してるのを見て、お前が良い女だって認識させる様な事言わせて」
「本当はすげえイヤだったし嫉妬した」
「それだったら私があの子達のマネージャーなんて……」
「でも、俺は俺自身に自信が有る。」
「……。」
「お前を泣かせれるのも真剣に人を愛せれるのも、あんな淫らにさせる事が出来るのも俺だけだってな」
「だからお前もそれを分かっとけよ。」