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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第14章 信用は危険への階段
「……ッ!」
テヒョンからの話で聞いていた。
ジンくんは映画の撮影中だし、他のメンバーもモデル撮影やバラエティー撮影と皆忙しくしている。
MAフェスを断ったのも、個人の活動が忙しいから今はそっちに集中したい。っていうモノだったのに──。
目をパチパチさせていると、真ん中でふんぞり返るテヒョンが、紫煙を吐き出しながら静かに言葉を続けた。
「まあコイツら四人は死んでもSfireだ。リハなんてしなくても成功させるし、そこは心配しなくて良いよ。」
「俺らがやるべきことは──」
「この大勝負、俺らがハンソン兄弟の上手をいって、あいつらの手首に固い鉄の塊を付けること。そうだろ?」
「その為に、もしかしたら長い時間を費やすかもしれない。でもそれを理由にトリに穴を開けるのは違う、それは距離感がなってねえからな。」
「だから、せめてもの──いや、"せめても"じゃねえだろうな。ビッグなバーターを置いておくってことだよ」
「本来ならサファイアにトリを任せたかったはずだし、俺が居ないとしてもちゃんと遣りきりさえすれば、FBKもSfireも居ないトリとは比べ物にならねえくらいのモノが出来上がる。」
これが……。
長年芸能界で生き抜いてきたソン・テヒョンだ。
所属事務所とテレビ局と各スポンサー、最大限の配慮を考えた結果なんだろう。
本当か嘘か分からない理由でテレビを欠席して平然としている人達も沢山居るけれど……。
彼だけは──本当に、適度な距離感というのを大事に保ち続けてる。
本来なら帝国はこのフェスティバルに幾ら金出したと思ってるんだ?位の態度でいってもいいはずなのに……。
そんな下品でバカらしい事は絶対にせずに、誰の顔も潰さない様に常に気を張り続けてるんだ。
ああ、この人は自分を育ててくれたテレビという分野に本当に敬意を持って常日頃、行動しているんだな。
感心……というか感動というか……。
潤んだ瞳で、天を仰いだ。