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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第14章 信用は危険への階段
衣装のままで裏口から出て、ベンツのバンに乗り込んだ。
テヒョンは運転手さんにホテルまで送ってもらい、イルトとジェジュンのアボジはホテルの部屋前で合流することになってる。
やっぱりマフィア以前に親だ。子ども達に迷惑が掛からない最大の配慮をしたのだろう。
車内にかかってある音楽を止めて、助手席に座る私は黙って前を見つめた。
テレビ局前には、沢山の人が居る。
きっとMAフェスに当たった運の良い子達だろう。……あと一時間で開演か……
一時間で話がまとまれば良いけど、本当にそればっかりはどうなるかわからない。
誰かが怪我をする、なんて最悪の出来事に見舞われたとしてもサファイアの四人が上手くバーターとして遣りきってくれる事を祈るしかない。
「こんな真ん前のホテル指定するなんて、マジでアイツらキチガイ染みてるな」
どこかで聞いたことのある様な台詞を吐き捨てたのは隣でサングラスをかけて、運転しているイルト。
「それテヒョンも言ってた。しかもそっくりそのまま、そんな言葉でね」
「そりゃ考える事は同じだろ。あいつらに対して思うことも。」
「それもあるけど──、あんたとテヒョンが似てるということも有ると思うけどね。」
「有り難い事だな。ヌナが惚れた男に俺が似てるなんて」
「……。」
「ああ!俺イルトがゲームに強かった理由──たった今わかったわ。」
「何言い出すんだよ、ジェジュン。」
「普段はオラオラしてて、偉そうなのに、こういう時は可愛い言葉言うだろ?それが母性本能を擽らすんだろうな」
「強きで、たまに優しい。だけじゃなくてそこに可愛さも入ってるワケだ。そりゃあ、女は堪らないよな。」