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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第14章 信用は危険への階段
「ヌナ、何階だったか覚えてるか?」
「勿論。えーっとね……」
着いたのは、この地域で一番のホテルと名高いユンサが指名した高級ホテル。
どうやって部屋を取ったんだろう。
偽名と偽のパスポートか?どっちにしろ、彼ら二人には私が知るよしもない方法や手段に溢れているんだろう。
──ホテルの他の利用者に見つからない様に私が帝国夫人という肩書きをつかい、裏口を開ける様に説得すると、ものの一分でメインフロアではない、少し小ぢんまりとしたフロアに通される。
エレベーターも、いわゆるVIP専用というやつだろうか。
今日のMAフェスの事を知ってるであろう支配人らしい50代の男性は私とFBKを見るなり不思議そうな顔をしたが、すんなりとエレベーターに上げてくれ、目的の階を押してくれた。
着いてこないのが彼の最大のおもてなし精神だ。
「うおっ、俺らのマンションより早いぜ、ここのエレベーター」
「そりゃそうだろ。ここらで唯一の五ツ星ホテルなんだから。」
「俺らのマンションも相当じゃね?」
「まあ……家賃が半端じゃねえからな。」
「マジで、吃驚しただろうな。会社の人たち。」
「──急に俺らが自費で宿舎借りるって言い出したかと思えば、作業室も作り上げて家具も揃えて、挙げ句の果てにドリームボーイズ先輩たちが何人か住んでる様なハイソなマンションを選んだ……ってワケだもんな」
「……あんたらさ」
黙って聞いていた話だけど、ふと疑問に思って口を開いた私。
「ん?」