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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第14章 信用は危険への階段
──まるで私たちが到着するのを見ていた様だった。
ノックをする前にドアが開かれ、その取っ手を持って笑顔で出迎えてくれたのは気味悪いという言葉がよく似合うイヴァン。
ド派手なグッチの白シャツに下は細身の真っ黒のスラックスだった。多分、靴もグッチだろう。
こんな奴に着られることを思いグッチのデザイナーは派手なものを作る様にしたのか?いや、絶対違う。
「久しぶりだな。」
まっすぐに私を見る目は瞳孔が完全に開いていた。
──こんな話の前にクスリをキメ込めるなんてスゴい度胸をしている。
「久しぶり。……あれから色々有って生きさせてもらってるわ。」
「おお、それは良かった。まあ入れよ。あっ、ボディーガードはもう出させたから安心してくれ」
真っ白で偽物の香りがプンプンする並びの良い歯を見せると、さすがのスイートルームらしく、だだっ広いリビングに私たちを案内した。
丸いテーブルの真ん中には、今日──私が信じることに決めたユンサが居る。
私たちを見つけるとすぐに立ち上がり、これまた取って付けた様なキザな態度で頭を下げた。
彼のスーツは……テヒョンも愛するシャネルのものだ。
『シャネルを着た悪魔とシャネルを着た馬鹿』という本を書いたら売れそうだな。
「これはこれは、まさか皆様揃って来て頂けるなんて。」
「元気そうだな、ユンサ。」
「神宮会トップの……スンリさんにお会い出来るんです。そりゃ体調に気を使いますよ。」
「ジェジュンのお父様、チョンフィさん。お元気でしたか?」
「ああ、俺は変わらず元気だ。──それより、座って良いか?」
「コイツらはテレビ局を抜け出してきてるんだ。お前らの策略通り出演させない、なんて事になったら堪らないから早いとこ話を進めたいんだが」
「ああ、そうですね。どうぞお掛け下さい。──イヴァン、お前は私の隣に座れ。」
「ほいよ」
必然か偶然か、テヒョンはユンサの真ん前に座った。