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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第14章 信用は危険への階段
「そんな忙しい大人がわざわざ、ここに集まった。それなのにお前はそうやって中々本題に切り出さないだろ」
「もし本当にビジネスで成功したいなら──それはウザがられるぞ、相手の金持ちや企業家達にな。」
「っ、ゴホッ。……そう、ですね。では早速本題に入りましょう。」
エベレスト並みのプライドが崩れ落ちたのを目の前で見た瞬間だ。
大体、似合いもしないのにこんなキザな態度や言葉遣いをしてるからダメなんじゃないか?とも思う。人間、普通でいいんだ。
普通で過ごしていても、天性の才能が有る人はどこかのタイミングでそれが現れるのに──。
「スンリさん、チョンフィさん。貴方達『神宮グループ』が持つ、韓国人が中国に輸出され芸能活動をする際の傘役をこちらに買い取らせて欲しい」
「……。」
まだ、それを狙ってるんだ。
テヒョンを見ると、彼も同じことを思ったのか少しだけ驚いた顔で私の方を見つめていた。
「他の希望は。」
「後は財閥の土地利権です。」
「貴方達はサムスングループ、LGグループ、トッタルグループ、という韓国国内で常に資産ランキング10位以内に入っている三財閥の会社や家が有る土地の利権に絡んでますよね。」
「毎月、ひとつのグループからでも何千万と入っているはずだ。それを合わせると三つの財閥で──億は越えるという調べが付いている。」
「それを……こちらに"譲って"ほしい。」
ユンサの目は真剣そのもの。
イヴァンも分からないフリをしているだけで、この状況をよく分かっているだろう。だからこそ、口を出さずに兄貴に全て任せているんだと思う。
「ふう。」
かわいい溜め息をついたスンリさんは、イルトのタバコに手を付けた。
「財閥の利権はくれてやるよ。」
「でも、中国での傘役は渡さない。」