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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第14章 信用は危険への階段
「どうしてですか。」
「傘役なんて毎月一千万くらいでしょう、それよりも何倍と大きい額が動く財閥利権を売るのに──どうして傘役は渡してくれないんですか」
「簡単な話「そんなん決まってるだろーが。」
我が父親の言葉に被せたのは、反論したくて仕方ないとウズウズしているイルト。
「財閥の土地利権の利益なんて一年でせいぜい15億くらいだ。……だけどな頭が良ければ、そのくらいの金額なんて稼げるんだよ。特にマフィアは目利きが良い。」
「新しい詐欺なのか、土地なのか、それとも一見全うなビジネスなのか。何なのかは分からねえけど、それでも才能と根気と地位さえあれば、そんな金は幾らでも入ってくるし、第一に『神宮会含む神宮グループ』は裏社会の帝国財閥だ。」
「たかがひとつの利権を渡したくらいで潰れちまう程ヤワじゃねえんだよ」
「……でも!」
「でも、何だ?まだ言いたいことがあんのか?」
「……。」
「──マフィアやヤクザなんて云う反社会的な団体への取り締まりがキツくなってる今でも、芸能事務所の人達はこっちを信用してそれなりのお金を払ってくれている。」
「それ以前に、だ。韓国人のことを韓国人が守らなきゃ誰が守るっつーんだ?戦争でも無えんだから、同盟組んでるアメリカが助けてくれます。なんて甘い話でも無いんだよ。」
「芸能界っていう弱肉強食の世界だからこそ、俺達は同胞意識を持って同じ土地で育った人達を守る義務が有る。事務所を決して裏切らない義務、もな。」
「いいか?ユンサ、イヴァン。」