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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第14章 信用は危険への階段
「ヒョン!止めて下さい!」
「うるせえ、お前らは引っ込んでろ!──ユンサァ…さっきから黙ってたら勝ち誇ったかの様に色々と条件を提示してたけどよぉ…」
「リサは──こいつは、ちげえだろ!」
「ヒョン!!!!」
「ここでコイツを殴ったら後先どうなるか分かんないっすよ!」
「殴るなんて安いモンで俺が満足すると思うか?!誰の前で……ッ、誰の前で誰の女口説いてんのかおめえ分かってんのか!」
「いいか?!俺は帝国財閥のトップだ、お前ら二人を今ここで殺してもこのホテルごと買収すりゃあ誰にもバレねえんだよ」
「インターポールと手ェ組んでる帝国財閥の……そのトップの嫁だと知ってて、嫁になれだあ?俺と籍を抜けだあ?いい度胸してんじゃねえか、お前らそこに並べや!頭ぶち抜いてやるよ!」
いつの間にかFBK五人がかりで止められているテヒョンだけど、こんなに何年も一緒に居た私でさえも見た事のない位に怒り狂っている。
五人の力を今にもはね除けそうだった。
そして、黙って目を瞑り、この事態をどうすべきか考えている二人のマフィア。
その姿は、まさにアウトレイジだ。
「じゃあ貴方は──、貴方は自らの父親が用意した席に座っている未来有る子達が爆撃で死んでも良い、と?」
「そう思っているんですよね。……二頭追うものは一頭も獲ず、という諺が日本には有るみたいですが貴方はご存じないですか。」
「誰がッ……誰が二頭も追ってるっていうんだ?いいか、ユンサ」
「俺は神でもなけりゃあ、人格者でもない。──リサを失ってまで助けたい命なんかこの世に無えんだよ!!」
「テテ君とアイちゃんも「誰かを助けて!!その代償でコイツが俺の側から居なくなるなら──俺は迷わず……ッ」
「もういいよ、テヒョン。」
もう誰の事も目に入っていなかった筈なのに……やっぱり私のことを愛して止まないみたい。
振り上げた拳と張り上げた声が一瞬にして止まる。