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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第16章 衝撃のヨクサムドン
そう言うとユンサは一番左に立つスキンヘッドにシャンパングラス二つと、ワインセラーからドンペリを一本持ってくる様に指示をする。
「それが終わればいつもの場所に戻って待機していてくれ。また何かあったらこっちから連絡する」
「了解です。──じゃあ、いつもより早いですが失礼します」
「ああ。」
ラベルをはがしたとき、ユンサに手を握られてコルクを外さない様にされる。
「なっ、何よ。私が開けていいんでしょう?」
ボディーガードを帰らせて、この部屋に孤独感が増したその瞬間の出来事だ。
ドクッと恐怖で心臓が大きく動いたのが自分でもわかった。
「飲みたくないんでしょう」
「──へっ?」
「顔に出てますよ。お酒なんて飲む気分じゃない、と。……それなら無理しなくても良いです。僕はテーブルの上にお茶が有りますし」
「はあ、何それ。私はどっちでも良いけど」
「それなら尚更話は簡単だ。二人が飲みたいと思ったときに飲みましょう。無理に飲ませるのはイヴァンであって僕の性格ではないです」
無理に飲ませる……よりも酷いことをした男がよく言うよ。
サイコパスってのは、たまに自分の恐怖行動をこういう風に悠遊と何も悪くないかの様な口ぶりで話すことがある。それが──まさにサイコパスの特徴ともいえるだろう。
「ねえ、ユンサ」
「はい。」
ソファーに隣同士で座りながら、今度は私が話しかけた。
「本当に──子供たちを解放してくれるのよね」
「僕は起爆装置も解除させて、テテ君たちがいる部屋の鍵もリサさんの目の前で開錠したでしょ。嘘はつきませんよ」
「………。」
「──まあ、そうは言っても『僕たちはハンソン兄弟ですよ』なんて言ってしまったのは、自分自身ですからね。信じれなくても当たり前だとは思いますが」
「子供たちは……イテウォンの廃墟ビルにいます。明日の朝にボディーガードを連れずに二人でそこに行き、自由にさせる計画です」
「二人って、私とあなた?イヴァンは?」