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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第16章 衝撃のヨクサムドン
「貴方も──オナシスの様になりたいなら、彼が死ぬまで愛し続けた実質の妻である『戸籍上の愛人』を作ったらどうなの!?性欲問題にまで私を巻き込むのは辞めてよ!」
きっぱりと、そう言い切った瞬間だった。
先ほどまでとは目つきが全然違う彼が、顔を赤くして中身の入ったドンペリを私目がけて投げつける。
勿論……突然のことで避けれなかった私が洋服ごと濡れてしまい、アルコールのにおいを充満させる様なことになるのは当たり前だ。
「なッ……何すんのよ」
口ではキツイことを言いながらも、目前に立つユンサにビビリきっているのは明白だ。
神宮会と話していたときも、私が彼を殴ったときも──こんな顔はしていなかったのに。自分を拒否されたことが、そこまで嫌だったのだとするならば、にわか信じれない。
「来ないで……来ないでよ……」
ジリジリと歩み寄られることに心の底からの恐怖を覚える。
「お前まで俺を拒否するのか?」
「えっ?」
ほら、彼は気取ってる。
だからどんな状況であっても女性に対してお前、なんて絶対言わないはずなのに。
「お前まで俺を拒否すんのかって──ただ、そう聞いてるだけだよ!」
首根っこを掴まれ、強引に投げられると──その瞬間に鋭い痛みが耳の後ろと後頭部に走る。
ああ、ガラステーブルの角で頭打っちゃった。と理解をするのは容易かった。……だけど、痛みは全然容易くない。
ジンジンとする部分を触った右手には赤黒い血がどっぷりと付いている。