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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第1章 自分勝手な旦那さん

「ちょっと、アンタねえ!」

思わず出た関西弁。こういう場面は時たま有るから、彼はアンタの意味をもう痛いほどに理解しているらしい。

「ああ?」

新聞を横において、チラリと私を見る。


もう彼は33歳になった。だけど──老けるってことを知らないのだろう。まるで顔が変わらずに美形と美声を貫いてるHYDEみたいだ。

真っ白で毛穴ひとつない肌と、綺麗でアーモンドの様な形をした瞳。細く高い鼻に、薄くて品の良い唇。


そりゃ未だに韓国国内で……いや、世界レベルで人気が衰えないのも理解出来る。逆に30を過ぎて色気が増したと、もっぱら評判だった。


「何で日本なのよ?テテとアイは日本語話せるでしょう!」

「まだっ──まだね!百歩譲って英語の勉強の為に、あの子達をアメリカに留学させる。なら分かったわよ。」

「でも日本?!しかも私抜きで?!」



「……俺達がこうやって英語で会話してるんだから、なおさら英語圏に留学なんてさせる必要ないだろ。」

「………っ。」


「今は家族で話す時の言語は、全部英語だ。まあ、特例としてお前の家族と話す時は簡単な日本語、幼稚園では韓国語を話してるけどな。」


「それなら韓国「はあ……。俺が惚れた女もアボジが惚れた女も日本人なんだぞ?」


「だからなによ。」


「日本で例え三年でも六年でも、分かんねえけど、とりあえず生活させることに意味があるんだよ。」

「どんな意味?」

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