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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第16章 衝撃のヨクサムドン
「ボディーガードかイヴァンが子供達の場所をしっかり白状してくれたら良いけどな。」
「そうね。本当に──それが一番大事よ。ここまで来て、何も知らない。と言われたらどうにも出来ないから。」
「……ああ。」
韓国語が勿論、全部理解出来るであろう店員さんに人差し指を立ててシークレット・サインを送ると、子供の様に何度も頷いていた。
そして紙に、少しだけ汚い字で『こちらはあと五分程度だと思います』と書く。
……きっと、あと五分程度で救急車が到着します、という意味だろう。
「なあ、ヌナ。」
「何?もう直ぐで救急車が到着するみたいだから、あんまり話は出来ないわよ。」
「それは分かってる。でも聞きたいことがある。」
「ん?」
「──ヌナがユンサの事を殺ろうとしたから、あいつが怪我したってワケじゃねえんだよな」
「何それ、そんなワケないでしょ。私は何もしてないわよ。ユンサが──、ユンサが狂ってしまっただけ」
「なら良い。」
「どうして?もし私が何かこの人にしてたら、あんたはどうしてたの。」
「別にどうもしないよ。よくやったな、とも言えないし、何やってんだよ!とも怒らない。」
「……。」
「ただ、こんな綺麗な人の綺麗な手を汚させてしまったんだなって自分の力の無さに落胆するだけだ。」
「何言って「──ヒョンを止めるの、大変だった。」
「……。」
「俺らに銃を用意しろだ、インターポールの今回の事件受け持ってる上から順番に責任者を呼んで、怒鳴り付けて俺が殺す!なんて言い出して」
「でも、俺らは止めるしかないだろ。立場的にも。」
「そうね。」
「──だけど、俺ら五人はヒョンと同じ気持ちだったよ。今度こそ……あの兄弟を"殺る"しかヌナを守る方法は無いな、って」
「でもそんな汚れな役割をさせたくもなかった、ヌナに。……だからヌナの手が汚れてないことを聞いて安心したよ。」
「あんたも狂ってると思われるわよ、そんなこと言ってたら。」
「いいんだよ、俺ら五人もヒョンも──ヌナのことになると狂っちまうんだ。それの何が悪いんだ?って思ってる。愛が武器になることの──何が悪いんだ、ってな。」