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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第16章 衝撃のヨクサムドン
サイレンが聞こえ出す、まくし立てる様にイルトに話しかけた。
「ごめんっ、イルト!救急車きたみたいだから切るわね。詳細はまた連絡するから。……ウチの出来の悪い子だけ宜しく頼むわ。」
「了解。ヒョンなら──、今はジンさんに抱きついて泣いてるよ。」
簡単に、その姿が想像出来る。
やっぱりテヒョンがこういう時に抱きつくのはジン君なんだ、って思ったけどね。
グループのツートップなんて言われれば、不仲説を囁かれたりするのがオチだけどもう10年以上も一緒にグループをしてきたあの二人には『不仲』なんて言葉、似合わない。
確かに二人きりでご飯に行ったとか飲みに行ったとは聞かないけれど……
こうやって、何かあったら痛みや喜びを分かち合える関係性なんだ、それだけで充分だと思う。
そんな事を思いながら電話を切って、もうこの道が長そうなベテラン隊員さんに事情を説明する。
時折驚いた表情をしていたけれど、さすがプロだ。
相手が私であっても取り乱す事なく、黙って頷いてくれていた。
「あのっ、僕はどうすれば良いですか?」
救急車に乗り込む為に、動きだそうとする私を呼び止めてそういう店員さん。
あ、そうだ。この子には──きっちり話しておかないと。