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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第16章 衝撃のヨクサムドン
「あと数分も経たない内に、この倒れてる男の人を捕まえる為にヤッケになってたインターポールが来るはずなの」
「ひぃっ……インター、ポールですか?」
「そう。とりあえず彼達が来たら貴方には自分の目で見たユンサの状況とかを話してほしい。多分色々と写真撮られたり証拠品として持ち帰られたりするから、貴方は絶対に此処に居ないとダメなの。」
「……分かりました。」
「今はまだ何がどうなってるのか私の口からは説明できない。」
「だからテレビで報道されるのを待つか──もしくは帝国夫人として、お礼に伺う時を誰にも何も言わずに待っててほしい。……出来る?」
「はい。勿論、この事については誰にも言いません。」
「……ありがとう、信じるから。あっ、携帯は貸しててくれない?」
「勿論です!」
まるで時代遅れの青春ドラマの台詞回しみたいだな。
それくらいクサイ台詞を言ってしまったと思う。
「じゃあ、後は宜しくね!」
笑顔でそう言って、みんなの待つ車に乗り込んだ私。
担架に寝かされてるユンサは、どことなく幸せそうな顔にも見えた。
──やっぱり私が乗り込むのを待っていたんだろう。
扉が止まると同時にサイレンを鳴らし、スピード全開で走り出すこの真っ白の車。
機械音と忙しく彼の状況を話す声で、てんやわんやしている。
「ユンサはっ……」
「非常に危険な状態です。」
きっぱりとそう言い切られた。
「危険って…」
「薬物依存症ですね、この方は。我々は切開したワケでも無いので詳しくは分かりませんが、例えば胃や心臓、肝臓等といった"臓器"が非常に弱っているのは確かです。」
「このまま、オペ室に運んだとしても──どうなるかは正直、神のみぞ知るというやつです。」
「まずは止血が最優先ですが、出ていってしまった分の血を彼が自分の体で作り出せるのかが重要なんです、薬物中毒者は基本的にそれが出来ないです。ましてや、致死量を入れたのでしょう?状況はかなり深刻ですよ。」
淡々と、でも私にも分かるように説明してくれたお陰で何とか理解は出来た。