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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第16章 衝撃のヨクサムドン
「彼が死んだら……」
「はい?」
いや、彼は死ぬべき人間だと思う。
何人の大人子供を殺している?何人の人に涙を流させた?言い出したらキリが無いことは確か。
だからこそ『死ぬべき人間』に値するかもしれない。
でも、心のどこかでもう一人の自分が叫ぶんだ。
死んで償う、なんて当事者ではない者の戯言じゃないの?と。
この世に死ぬべき人間、なんて品位の欠片もない人が存在するのだろうか。
きっと、ユンサが死んだらイヴァンは悲しむだろう。彼達の取り巻きも。
もしかしたら本気でユンサのことを愛していた女の子がいるかもしれない。ユンサに助けられた事のある人がいるかもしれない。
それを思うと──死んでも良い人間、なんていないのかな。
自分自身が誘拐されようが、刺されようが泣きもしなかった『強い私』の頬に一滴の滴が流れ落ちる。
見るからに悪人であろう男の生死の境目を見て涙を流す、天下の帝国夫人に驚いたのかな。
全ての隊員の話し言葉が一気に止まった。視線は私に集まる。
「きっと。」
「きっと、彼が何をしでかした人間なのか。どんな追い立ちで何をして食べてきたのかインターネットやニュース番組で面白可笑しく報道されると思います。」
「いや、必ず──必ず、報道させます。」
事件が起きた時は、どこかからの圧力か知らないが報道規制がかかってた。
でも多分……テヒョンに私が土下座でもして頼み込めば帝国からの『逆貼りの圧力』で、機関は報道し始めるに違いない。
警察庁も、韓国という小国で世界的犯罪者を消滅させることが出来た。と世界にアピールしたいからゴーサインを出すだろう。
全ては結果なのだ。