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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第17章 彼なりのケジメ

「なあ」

「何?」


「兄貴はコカインが原因なのか。」

まっすぐな瞳でそう問う彼。

あの日、イヴァンはボディーガードから定時の連絡が来ない事を不審に思い来なかった。

きっと、風の噂でユンサの状態を聞き、独自のルートでこの病院を探し当てたのだろう。


「……ええ、薬物依存による影響ね。自分で血を作り出せないのよ、だからこうして人の血を入れても尚、この状態が続いてる。」

「そうか。」


──薬物ってのは本当に怖い。


打ってる時はよくても、空手の段保持者に本気で腹を殴られたら肝臓破裂という事もある。

薬物は臓器や人体から本来の動きを奪ってしまう。だからこそ、こういう風に脆くもなってしまうのだ。


「なあ、あの時お前はなんで兄貴について行ったんだ?」

延命器具で必死に生きようとしているユンサから目を離さずに、そう問いかけられた。

あの時……とは、テヒョンが私の背中を泣きそうな瞳で見つめていたであろう例のホテルでの出来事を指しているに違いない。

「どうしてって……」

「正直、自分でも分からない。」


「はっ、そんなもんか。」


「──なんか、もう諦めがついてたのかもしれない。今思うと。」


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