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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第18章 子どもの嫉妬
「だからこそ、この空白の数ヵ月を取り戻すために私は仕事はせずにあなたのお嫁さんで居たいの。」
「──ッ」
肩が少しずつ濡れてきてるのが分かった。本当に、彼はいつからこんなに泣き虫になったんだ?
というか、結婚しても尚付き合い出した当初よりも私への愛が大きくなっているのは本当に驚きだ。
「でもね、ボランティアはしたい」
「ボランティア?」
「ここから車で十五分ほど行った所に事故孤児の子達が居る施設有るの知ってる?」
「……ああ、名前は出てこないけど分かる。そこがどうしたんだよ」
「そこの門にね、張り紙が貼ってあるのを見つけたの。ボランティアで週に一回か二回、子ども達に財産を与えてくれる方は居ませんか?って」
「財産?」
「あら、分かんない?」
「何でもいいのよ、語学でも数学でもダンスでも歌でも良いの。彼達の『将来の財産』になるものを教えてあげる、その土俵を与えてあげるってことよ」
「………。」
「ねえ、テヒョン。私ね、そこで週に二回子ども達に英語と日本語を教えてあげたいの」
「もし、英語と日本語がペラペラに話せたら芸能事務所にだって家電製品会社にだって勤めれるのよ。」
「彼達の人生の選択肢は本当に増えるの。」
「だから──、そのボランティアスタッフの案件に応募してもいいかな?」
抱き締められたままだから少し動きにくいけど──必死に首を後ろに回した。
私の目に映るのは、これでもかと言う位に満面の笑みを浮かべているテヒョン。
彼は、私の頬に軽く口づけをしてから又も笑い出した。
「なっ!こっちは真剣だってのに……あんた又笑うのね?」