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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第4章 想像以上の実力
テヒョンも絶賛している味を持つBNの食堂にはこの事務所で今二番人気くらいの子達が居た、名前はKBLOCK。
派手な顔をしている彼達のロールモデルは勿論、サファイアだ。
いきなり食堂へ現れた私を見るなり立ち上がって頭を下げるので、軽く笑顔を見せてからその奥でスマホを触ってる悪ガキたちの元へ向かう。
「そんな一生懸命消そうとしても無駄よ。パスワード変えたから」
「おっ……オメエ!」
ジェジュンが凄い勢いで立ち上がって、私を見るなり今にも殴り掛かりそうな表情で近付いてくる。
それを片手で後ろから固める様にして止めるのは……そう、あの資料で一番名前が出てきた──つまり、彼達のゲームの最強者であるイルト。
「何考えてるんですか、ヌナ」
気の短い彼の声は大きかった。
それとは対照的に静かになった食堂には、強弱はあまり無いけど威圧感丸出しのイルトの声が響く。
「有名になりたいんでしょ?」
──続々と状況を理解したであろう外野達の驚きの言葉が耳に入る中、私はあくまでも冷静だった。
答えは一つ、これも策略の内の一つだから。
「リサヌナ、そんなに俺達の新しいターゲットにされたのが腹立った?」
「違うのよ、ジュン。」
「私は有名になりたいっていう貴方たちの要望を叶えてあげたの」
「……誰がこんな形で有名になりたいって言った?」
「どんな形になるかはまだ分からないでしょ、あんたら次第よ」
「オメエ──いい加減にしろよ」
呟いたのは、アリー。
「何を考えてる?」
きっと、この食堂で一番視線を集めているのは私達六人だろう。
そんな状況の中、ウォーターサーバーで水を紙コップの中に入れながらゆっくりと怒り心頭のガキ五人に近付く私はやっぱり変なんだろう。
ああ、それこそ『帝国の血』なのかもしれない。
「これ見て」
いつだっただろう、私もアート財閥を潰しにかかるテヒョンに面食らった事があった。
そして──その時にされた行動は私が今してる行動と全く同じ。
スマホを五人に見せつけている私の格好は、昔でいう水戸黄門のあの有名なシーンとそっくりだ。