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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第4章 想像以上の実力
「………」
「勿論"こんなもんか"っていう声もあるはずよ。万人受けする音楽もダンスも、そんなもの存在なんてしないんだから。しかもアンタ達には最悪な先入観が有る」
「でも貴方達も既に二十歳超えてるから分かるでしょ?」
「最悪な印象から入った人物の──良い所を見つけた時、人間はその人から離れられなくなるし、知らない間に愛や興味が自分で思う以上に沸いてくるものなの」
「はっ、そんなのお前が考えてる事だろ。俺たちの今後はどうなる?」
「確かに話題性は抜群だ、デビュー時の番組だって視聴率はハネ上がるしユーチューブの再生回数だって、そこに居るKBLOCKのモンより云万回違いで上がるだろうな」
「でも、それは一過性のものでしかない。」
「何言ってんの、アンタら自分に自信あるんでしょ?有るから偉そうな態度とって新人アイドルらしからぬ行動してんでしょ?」
「本当の実力ってのは──必ず支持されるものなのよ。そこにどんな先入観がバッドなイメージが有ってもね。」
「わたしは──」
「私は、初めテヒョンに拉致されて韓国に来た。」
報道されていない、一部の人間しか知らない事実。
さすがにこれは彼の名誉に関わる事だからメディアには言わなかった。
本当の営業マンってのは顔を立てるとかそういうのを気にはするけど──大事な時には薄情になるものだ。
「家も仕事も車や銀行の名義も全部、アイツが帝国の力を使って『契約破棄』つまり──私にはどうも出来ない状況を作り上げたの」
「仕事でクビ宣告された私はキャッシュカードもクレジットカードも使えなかった。家も勝手に解約されてたから貯めこんでたお金を使うことも不可能……」
「だから時計と指輪を質預かりに出して、そのお金で飛行機のチケットだけ取って此処を訪ねてきた」