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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第4章 想像以上の実力
サファイアは基本的に服装は皆、シンプルな感じが多い。
オーバーサイズのロンティーを合わせたら下はスキニーとか。まあ年齢も有るけど──彼達の場合は衣装がどんなのでも、本人がスターだから関係ないんだろう。
FBKのジャケ写を見る限り、新曲がヒップホップ系の路線なのは間違いない。
意を決した様にCDをパソコンにセットすると、自前のイヤホンを耳に差して、再生ボタンをクリックした。
低音のベースがメロディを刻むと直ぐにEDMらしいのがミックスされる。
「やっぱりヒップホップか。」
『僕のラバー、もう会いたいのに会えないなんて言わないで』
『あの時のシャネルの香りを思い出すんだ』
『町歩いて、同じ香り感じて』
『君じゃないかって振り向くなんて僕はバカだよね』
『でも聞いてほしいんだ。あの時の言葉はウソじゃない』
『悲しませた、不安にもさせた』
『だけど僕は君なしじゃ生きれない』
歌詞カードには作詞アリー、作曲ジュンの文字。
「王道ラブソングの歌詞に王道メロディーね。」
だけど──悔しい事にあのサファイアが才能を認める理由は直ぐに分かった。
イルトの低音とジュンの高音のハモリは最高に色っぽいし、個々の歌声も全員での歌声も『アイドル』の域を超えてる。
だからこそ、本来なら『売れる楽曲』でさえもどこか陳腐に感じてしまうんだろう。
……そう、コイツ達の実力が凄すぎて並程度のベースじゃ物足りなく感じてしまうんだ。
「これじゃ売れるの間違いなしよ」
「顔も格好良い、スタイルも抜群、歌も今居るアイドルの中でダントツにうまい。」
「でも──サファイアにはなれないのよね。このままじゃ」
大きく伸びをしてから首を横にひねる、ここまで本気でパソコンと向き合ったのは何時ぶりになるだろう。