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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第5章 嫉妬か否か
「聞きたいんだけど」
「何?」
「俺達、全員作曲は出来るけどほとんどEDMかヒップホップ。ロックなんて全く知らねえ世界だし、今からデビューまで一か月切ったばっかって言うのに……それで間に合うんすか」
「──明日はアンタ達のダンスを徹底的に見ようと思ってたけど中止する。」
「俺達に曲作れって?」
「違うわよ、出来ない事を言っても仕方ないでしょ。──日本に行く、六人で」
「……はあ、やっぱりヌナにはついていけねえわ」
「それで結構。考え方にはついてこなくていい、でも行動にはついてきて。絶対に損はさせないから」
「どっからそんな自信出てくるんだろうな。サファイアのマネヒョンだってそこまでの自信家じゃないってのに」
「私の自信の源は一つよ、あのソン・テヒョンを手なずけてるって事だけ」
時間が無いのはよく分かってた、だからこそ明日イキナリ日本に飛ぶんだ。
勿論、テテとアイに会う時間は……無いと思う。日帰りで帰ってこないとややこしい事になるのは目に見えてるし、悠長に泊まってられるほどの余裕もない。
少しだけ開いた窓に、紫煙が流れる様にして消えていくのをボンヤリと見つめた。
私のこの考えが当たれば──テヒョン率いる帝国財閥が世界を動かした様に韓国の流行りってやつも動かせるかもしれないんだ。
そうなれば帝国の顔はもっと上がる事になるし、新しいビジネスも発見されるかもしれない。──つまり、私がこの計画を失敗させる理由は無いってことだろう。
「もう着くから」
「ああ、うん。ありがとう」
「ハジンちゃん」
「……はい?」
「私、この子達の事……絶対に有名にしてみせるから」
「だから貴方はイルトに本気で好かれる様に努力してみて。本当にそうなったら──絶対にハジンちゃんには得しかないわよ」
「だって新しいスーパースターに愛されるワケだもん。それって女名利に尽きるでしょ?」
何も言わない女の子から、目線をドアの外に移す。
何度か見たお店の前には、見慣れた男の姿が有った。