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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第5章 嫉妬か否か
いくら私に原因が有るとはいえ、昨日のラブラブさがウソみたいだ。
「……お前がした行動の真意、あの時食堂に居たスタッフから聞いた。さすが俺の女だな、って思ったよ」
「最後の言葉には感銘も受けた。『私は腹くくったんだから、お前らも有名になるために腹くくれ』ってやつ」
「どんなに出来の悪いガキ相手でも、お前は任された仕事は情を持って責任感を持ってやり遂げようとするだろ。俺はお前のそういう所がすげえ好きなんだよ」
「……。」
「でもな、お前に分からせねえといけない事がある」
「──何?あたしがテヒョンの嫁だってこと?」
「ちげえよ、そんなんは痛いほどに分かってんだろ」
「……じゃあ何」
「──俺が本気出せば"アイツ達"の未来なんて、簡単にぶっ潰せるってことだよ」
そう言った目の前の男の顔は本気そのものだった。
「……ま、俺も大人だしお前がそんな行動嫌うの分かってるから、それはしねえけど。出来るんだって話だわ」
「お前が精一杯仕事をやり切ろうとしてる事に関しては文句も言わないし応援もする。俺だって出来の悪い後輩だけど、やっぱり可愛いワケだしな」
「でもお前が俺を心配させるのは違うだろ。」
「──そうだね」
「お前はお前が思ってる以上に良い女なんだよ、頼むから分かれ」
「……。」
切実そうな表情で重そうに腰を上げると、おでこに優しくキスをした旦那さんはいつもの旦那さんじゃないみたいだ。
まあ逆の立場で──彼が、可愛い女の子をプロデュースするってなって同じ行動をしたら、いくら私でも心配になったりはしてると思う。
そう考えると目の前のテヒョンを凄く愛しく思ってしまった。
腕を引っ張り、男みたいに強引に抱きしめてみる。
「…何だよ」
「ううん、ごめんね。心配させて。」
「──あたし、あんたが思ってる以上にあんたしか見てないから。」
顔は見えないけど……きっとニヤけてるんだろうな。これがヨメて分かるのが本気で愛し合ってる夫婦なんだと思う。
華奢だけど筋肉のついた腰に回した腕に少しだけ力を込めると、慈しむ様に首元へのキスで返してくれたソン・テヒョンに、やっぱり私は惚れこんでいる。