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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第6章 期待ばかりの日本旅行
個々に動く残りの四人には私たちの会話は聞こえていないだろう。
ジュンもノリが軽いだけで、このゲームに関しては諦めているようだった。
もし本気で勝ちにくるなら──私とイルトが話している間に入ってくるだろう、きっとジュンのゲームの勝ち方は、そういうスタンスだと思う。
「俺のこと何だと思ってんだよ」
「そりゃ、欲望のままに動くガキでしょ」
「はあ、ヌナと話しててもラチ明かねえわ。」
「なっ、なにそれ!」
「遅刻してきた分際で、昨日より濃くなったキスマーク付けてきてんじゃねえよ。」
レクサスのキーを回しながら吐かれた台詞は……どこか本気でイラついている様だった。
「ねえ、イルト」
「何ですか」
振り向きもせず、さっさと出ていこうとする彼の肩に手を置いて強引に歩みを止めさせた。
流石にすぐ隣に居たジェジュンが私たちのことを不思議そうな目で見ている。
咄嗟に出たのは──英語だった。
「まさかだと思うけど、あんた私に本気で惚れてないわよね?」
「はあ?何言ってんすか」
「いや、違うならいいの。そう思っただけだから」
「本気で惚れてたらダメなんですか」
「ダメじゃないけど、傷付くのはアンタじゃん。私は人妻だしテヒョンしか見てないんだもん。」
「はっ、ヌナも相当お花畑な人っすね。」
「お花畑な妄想なら良かったわ。」
「安心してください、僕は女に本気になること無いんで。」