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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第6章 期待ばかりの日本旅行
アシアナ航空のビジネスクラスは、あまり評判が良くないみたいだけど私的にこの値段でこのサービスはグッドだ。
さすがに帝国夫人だと皆分かってくれている様で、離陸前に機長さん直々に挨拶にきて下さったのは、驚きを通り越して固まってしまった。
──残りの五人は、やっぱり慣れた手つきでスリッパに履き替えたり、ウェルカムドリンクを貰ったりしている。
普通の子達ならビジネスクラスにのれたら興奮で写真を撮ったりするのに、それすらも無い訳だ。
彼達のことをネットで知ったであろう綺麗なCAさん達が何人か話しかけていたけど、当の本人は当たり障りのない返事をするだけで、取って食おうということはしていない。
私の言うことを聞いているのか──、それとも眠たいのか。
確実に後者だろう。ジュン以外のメンバーが打ち合わせしていたかの様に一斉にアイマスクを付けだした。
何だか、本当に子を見守る母の様な気持ちが私の中で大きくなる。
スマホを取り出して、ジュンに『静かに』とジェスチャーすると、イタズラっ子の様な笑顔でピースを向ける彼。
私が自分の手で初めて撮った写真は──
FBKらしさが溢れる、オフショットとなった。
顔がちゃんと写っているのはジュンだけ。……でも、これがこの子達らしいのかもしれないな。