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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第6章 期待ばかりの日本旅行
「ったく、ヌナだけじゃなくてお前らもかよ。」
嫌々そうな言葉が聞こえたけど、そんなの私にしか彼の本性だと知らない。
ミンホとジェジュンが後に続く様に、営業スマイルを張り付けてから一緒に頭を下げる。
その場でただ一人、呆然と立ち尽くしているのはリーダーであるイルトだけだった。
「あっ……お顔をあげてください。」
「──っ。」
「私はアイドルにあまり詳しくないですが、皆さんを見た時にどこかオーラのある方だなと思ったのは事実です」
「きっと、人気になると思いますし私も影ながら応援させていただきます。」
ふんわりとした大人の女性ならではの笑顔を見て、どこか安心しきってしまう私。
ありがとうございます!と元気にもう一度だけ、今度は先程より浅く頭を下げてから入国管理官の元へ歩く。
不器用だけど……やっぱりリーダーなんだろう。
イルトは最後「これから宜しくお願いします」と小さいけど芯の有る声を響かせながら、彼女にそう声をかけていた。
勿論、少しのお辞儀と共に──。