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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第6章 期待ばかりの日本旅行

ご馳走して貰ったアクエリアスをバッグの中に閉まって、関空を出た私達はまたも二台に別れてタクシーに乗り込んだ。

懐かしい大阪弁を嬉しく思った私はメンバーを置いて運転手さんと約30分、弾丸トークをかましてたんだから、やっぱり私のこの性格はワールドワイド・フレンドリーとでも名前を付けてほしいくらい。


静かな街並みが、ティファニーやヴィトンに差し掛かり……左手に懐かしい『つるとんたん』が見えた時、ああミナミに来たんだ。なんて余韻に浸りそうになる。


「うわあ、朝の十時前だってのに人居るもんだな」

「そうよ。大阪の眠らない町だからね」


「おっジュン。あの女の人見て、すげえ短いスカートに身長も良い感じに高いし……結構綺麗な感じじゃね?」

「ああ、俺はパス。まあヤるだけなら完璧だけどな、ゲームのターゲットにしちゃあ簡単すぎるしクラブでのワンナイトどまりじゃねえの?」

運転手さんが韓国語を理解できないのを良いことに、まあドギツイ内容を話しているジュンとアリー。

彼達が指をさしている女性は、バーキンっぽいバッグを持っていかにもミナミの売れっ子キャバ嬢という雰囲気が有る。

口煩い彼達が、そこそこに褒めるだけあって派手だけど顔は整っていた。──まあ、彼達が声をかけたら一目散に着いてくるだろうな。

「……お客さん、聞いてる?割引しといたから8900円だよ」

「ああ、ありがとうございます。お釣りは良いからね」


領収書だけ貰ってから、それと同時に一万円を手渡した。

メンバーたちが降りるのを待つ事なく、後ろのケツについているタクシーの前に小走りで行くと、丁度支払いを済ませたと思われるイルトが財布をバッグに閉まいながら、車内から足を出すのが目に入る。

「あ!イルト」

「ん?」

「いくらだった?領収書ちょうだい」

「……いいよ」

「はあ?アンタまで何言ってんのよ」

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