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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第6章 期待ばかりの日本旅行
「ヌナこそ、あんな堂々と今回の大阪は経費で落ちないみたいな事言っといて、俺に領収書ちょうだいとか何考えてんだよ」
「…っ!それとこれとは別でしょ、もしかしたら今回の勝手な行動だって──認められたら全額経費で落とせる様に手配してくれるかもしれないしさ」
「第一、アンタ達は私の大事な商品みたいなモンなのよ。」
「ジュース一本ならまだしも、中々の金額を『じゃあ出しといてもらおうかな』なんて語尾に音符つけて言えないわよ」
「──はあ、何でそんな小さい事気にするかな」
「小さくないの。あんた達は就職した事が無いから分からないだけで、こういうのは領収書切って経費で落とすモンでしょう!」
『はいはい』と言いながら、道も知らないくせにスタスタと五人並んで前を歩いて行く。
私は半分意地になりながら、イルトの肩を今朝みたいに掴んだ。
「っ、なんだよ」
「領収書貸せって言ってんの」
「だから経費で落ちないんだろ?じゃあ、別に俺がもっとくから良いって言ってんだけど。」
「もし上から『領収書全部持ってこい』って言われたら、その時よこしてやるよ」
「……あんたねえ、ナメてんの!?」
やっぱりイルトは今朝から少しだけご機嫌斜めだ。
分かり易いから顔や話し方で機嫌悪いか良いか直ぐに分かってしまう。
知り合って二日目で私にヨマれるんだから、単純な男だよな。
「ちょっとヌナ」
クールなミンホに腕を引っ張られて、抱きしめられる様な形で今すぐにでも殴り掛かりそうになってたのを阻止された。
「ちょっ……離してよ」