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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第6章 期待ばかりの日本旅行
フェイスブックでたまたま見つけたこのお店の……ディスプレイされているコーディネートを見た時に『これだ』と感覚的に思ったのだ。
綺麗目だけど動きやすそうで、見るからに『ロック・テイスト』なこの雰囲気。
でも、セックスマシンガンズみたいに一昔前のヴィジュアル系っぽい臭さは無い。
やっぱり様々なブランドを合わせてコーデしているからか、今風にお洒落で今風にロックなんだ。──これぞあたしの求めていた彼達のイメージだ、と思った。
「リサ、俺は?」
呼び捨てで私に手招きをするのはアリーとミンホ。
……ああ、なんかカルティエで上から下までコーディネートされた時のテヒョンになってるみたいだ。一枚づつ服を見ては頭の中で素早くそれを彼達に重ねてみる。
不思議と、あんなにセンスの無かった私だけどテヒョンの『センスの良さ』が移ってきているようだ。
これはダメとかあれはオッケーとか、そういう事が分かる様になってきた。
「ヌナぁ、これでオッケー?」
「ジュンっ!完璧じゃん、最高に格好良いんだけどっ」
「マジで?!」
「うん!って事で、はーい次はアリーね。行ってらっしゃい」
試着室が一つしかないから、既にてんやわんやになりかけている。
──だけど、自分に自信を持てる事が一つ。それは……ジュンが本当に似合ってるっていうこと。これで宣材写真を取り直したら絶対に話題になる。
この異様な空間に店員さんの女性は目を丸くしているのみだ。
そりゃそうだろう、こんな朝一に男前な韓国人五人を連れてきて、買う前提で試着をさせてるんだから。
「……はあ。」
「ふふっ、お疲れですか?」
「いやっ、大変だけど遣り甲斐があるなって」
「お仕事関係ですよね。何だかそんな感じがします」
「どうなるかなんてわからないんですよね」
「んっ?」
まるで誰かに心の叫びを日本語で聞いてほしいかの様に思わず出た独り言は、やっぱりまだこの先の未来に不安な部分が少しは有る事を表しているのだろう。