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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第2章 新たな企み

「あいつらは帝国のDNAひいてんだよ。変わってる奴達なのは確かだ。だからこそ──電話なんて、せいぜい三日に一回くらいじゃねえの?」
「……っ」
「お前のオンマもしっかりしてるしさ、ちゃんと母親としておばあちゃんとしてアイツ達の教育してくれるだろうし」
「怖じ気付いて電話してくることはねえよ。誰かと喧嘩をしても誰かが味方してくれる環境なんだし。」
「帝国の血、ってそればっかり。」
「ああ?」
少しだけ大きくなるテヒョンの声。
周りにお客さんも誰も居ない私は、全てどうでもいい。と行動で示す様に、雑にタバコを取り出した。
まだ──私は韓国でもフィリップモリスの5mmを愛し続けている。
「まるで私の考えが、仲間外れみたいな言い方じゃん。私は確かに普通の家で育ってきたから凡人よ。」
「っ、誰もそんな事言ってねえだろ。」
「そう聞こえるって話をしてんの。本当にそういう所デリカシーないよね。」
「帝国の血とかDNAとか、分かるわよ。だってあの帝国だもん。……でも何?その血を引いてるあの子達は仲間で私はアンタ達にとっての"普通の考え"じゃない──つまり仲間外れってことでしょ。」
くゆりと紫煙が換気口の方へ舞って行く。
イラっとした時に早口になる癖は、子どもを産んでも変わらなかった。
「それだったら俺のオンマも帝国の血じゃねえだろ。シンビだって上野芝財閥の血だ。」
「………。」
「確かにお前にもオンマにも、帝国の血は入ってねえよ。でも俺とアボジが選んだ女なんだ」
「そこに仲間外れだ、生まれがどうだ。なんて関係ねえだろ。お前こそアート財閥のクソ野郎みてえに、そんな小さい事気にしてんじゃねえよ。」
「気にさせる様なことしたのはテヒョンじゃん!」
「まだ言うか?ああ?」
完全にお互い喧嘩腰だ。
……この後に及んでも、まだテレビを見続けているおじさん。ここまで来たら流石としか言いようがない。
英語が分からなくても、言葉のイントネーションとかで怒ってることは察しがつくはずなのに。
これこそ、韓国特有の『ケンチャナ精神』なんだろう。

