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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第6章 期待ばかりの日本旅行
───私たちの手には沢山の紙袋が握られている。撮影は四日後で取っているし、彼達がこれを着てメイクをして新たなFBKになるまで後もう少し。
本題である『ロックな新曲』を手に入れる為に、私たちは夕方18時、同じく心斎橋にあるバロンというライブハウスの前に居た。
やっぱりお昼でも夜でも朝でも、彼達を連れて歩いていると女の子からの視線がすごいんだよね……。
マスクを付けていても、芸能人だとわかるオーラが有るんだろう。
「これは?」
「トップバッターのLONDっていうバンドの曲が結構良いんだよね。」
こういう所はワンドリンク制なのでフライヤーとチケットを貰ってからドリンクコーナーに歩いた。
「有名なの?」
「有名だったらキャパ200のライブハウスでライブしないでしょ、無名中の無名よ。事務所にも所属してないし」
「たまたまユーチューブで音楽を聞いてたら出会っただけ。」
「へえ……で、どうするつもりなんだよ?俺達が、そのLONDってバンドの曲を聞いてパクれば良いのか?」
「ううん、楽曲提供してもらう。」
「はあ?!無名なのに?!」
今まで黙って聞いていたミンホがビールから口を離して、少し大きな声でそう言った。
「無名だけど、良い歌しか作ってないもん。」
「それだと話題性が無さすぎるだろ。韓国アイドルってのは、大体デビューシングルは有名な作曲家に依頼するか自分で作るかのどっちかだぜ。」
「だーかーらー、全部他のアイドルとは逆をいくのよ。」
「例え無名なバンドでも、そしてそれが日本人のバンドでも……曲が良ければあんた達は認められる。」
「そしてそういう行為は、性格の悪さをカバーするくらい『音楽が好きなんだ』とか『自分達の音楽に拘りもってやってるんだ』って思われるの。」
「曲の話題性は無いけど、行動にたいしての話題性は抜群でしょ。」
「………。」