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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第6章 期待ばかりの日本旅行
黙ってストローを噛んでいるイルトが、はあと小さくため息をついてからパイプ椅子から立ち上がる。
彼が右手に持っているのは不似合いな烏龍茶。どうやらちゃんと空港まで車で来ていたことを覚えてるらしい。
「まあ、マネヌナの言うことだし?衣装も買ったし?良いんじゃねえの」
「だけどなあイルト、これだとあまりに韓国の芸能界を無視し過ぎてるぜ」
「どうなるか、なんて分かんねえんだから。」
「……。」
「楽曲提供してもらっても、宣材撮り直しても、それが上に跳ねられたら俺達は既存の路線であのCDがデビューシングルになるわけだし。」
「認められるか、られねえか──そこが分からないんだから、それよりも前の段階で、やれそうだ違うだ言うのは時間の無駄だと思うわ。」
「やらなきゃやられる──そんな世界なんだしな。動かなきゃ何も始まんねえよ。」
「……俺達のリーダーとマネージャーの意見が一致となったら、そりゃLONDさんと話すしかないよね。」
「ジュンの言う通りー」
この子達の結束力には、サファイアとはまた違う何かが感じられる。
ファミリーだけどファミリーじゃないというか……。
アイドルグループとしてのファミリーではなくて、マフィアのファミリーと言った方が良いのかな。
第三者から見れば、サファイアもFBKも仲良しグループなんだけど、"仲良し"っていう言葉で片付けて良いのかな?と思ってしまうのが目の前の男達。
ジッと顔を見つめていたらしい、何だよ。と言いたげなイルトの表情を見てハッとした。
「物販にLONDのリーダーボーカル立ってるわ。話まとめる為にも一緒に行こう」
「え、事前にアポ取ってねえの?」