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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月
「うん。『男の子って感じだわ』とか『かわいらしい』とか、純粋にクソな所が女の母性本能を刺激してんのか知らないけど、そんな感じだもん」
「──それで、デビューシングルは低音ベースゴリゴリの『DEEP NIGHT』か。確かにリサが求めてた意外性と話題性、両方あるよな」
「皆して私の事認めてくれてるってこと?」
「……認めるだろ、普通は」
「──っ、イルト。」
「口も悪いし背も低いしアラサーだし」
「でも──"ヌナ"は、俺達が何しても何言っても『絶対に売れさせるから』って背中を見せてくれる」
「テヒョンさんが機嫌悪いの察知して、俺達がもう帰れって言っても一緒に練習とかレコーディングに納得するまで付き合うし」
「絶対にマネージャーになってからの三週間近く、忙しいとか色々な理由でヒョンとすれ違ってる筈なのに、それを出さずに俺達の前では"ヌナ"で居てくれる」
隠していたのに、まんまと気付かれてた事実。
──そう、私はテヒョンとすれ違っている。
喧嘩をする事は無いけど、前みたいに彼の帰りを待って一緒にご飯を食べる事はないし、エッチもしていない。
理由は何だろう。
彼もサファイアと帝国が忙しくて、私もこの子達関係で考える事やする事が山積みになってるからだろうか。
「でもヒョンは見に来てくれるんでしょ?」
「……ああ、うん。初ステージの『MUSIC BANK』は見てくれるよ」
「普通なら嫉妬とかで、俺達の事を毛嫌いしてもおかしくないんだもんねー。」
「それをヌナの思う通りに自由にさせて、応援してくれて──晴れ舞台まで見にきてくれるんだから、マジでヌナとヒョンは信頼しあってるんだと思うわ」
「……。」
「これは最強者のイルトでも、ゲーム続行してたら完敗だったってことじゃん。まあ俺達全員プライド高いから叶わない恋なんてガラじゃないしさ」
笑いながら、そんな事をぶっ込むジュンの言葉を聞いて、イルトは黙り込んでしまった。