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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月
「これからだって時に泣いてんじゃねえよ」
「……ごめんっ」
「俺ら、ヒョン達とは違ってまだガキだからリサの言う通り機嫌の良し悪しも顔に出るし、相変わらず女だ酒だって言ってるけどよ」
「──"ヌナ"が頑張ってんの、腹くくってんの、前だけ向いてんの、全部知ってたし気付いてたから。」
「だからこれからはも「──わりぃ、親父からだわ」
私にも伝わったスマホの振動音。
ふわりと、抱き締められた腕が離されてそんな事を彼が言った時、メンバー達の眉がピクリと上がった。
「……何か有ったのか」
「いや、違うだろ。とりあえず電話出てくる。悪いけど先に個人撮影でも進めといて」
珍しくどこか焦った様な顔をするジェジュンは去り際に私の頭を撫でてから、スマホ片手に使われていないメイク室の方へと向かって歩いていった。
「……っ、痛いっ」
──そして、見計らったかの様に今度はイルトに抱き締められる。
「ヒョン」
「ああ?ってか、お前らそんなにヌナの事抱き締めて良いのかよ。さすがにヒョンはそこまで許してないだろ」
「…ヒョンって英語わかります?」
「はあ?」
「だから、理解出来ますか?」
「……いや、俺は無理だけど。」
その答えを聞くや否や、私の顎を持ち無理矢理顔をあげさせられた。
「リサは英語理解出来んだろ。」
そうだ、そういえば──イルトは完璧な英語を話す。
韓国語だとキツい言葉使いなのに、英語はイギリス仕込みと品の良い話し方だから、なんか変な感じ。
「一回しか言わない。」
「俺、ヒョンに抱かれてるリサを見るのはまだ我慢出来るけど他は無理なんだわ。」
「何で俺とヒョン以外の男の言葉に泣いてんだよ」
「何で──ジェジュンの胸ん中で泣き止んでんだよ」
「俺、おかげさまでディオールのこの香水、嫌いになりそうだわ。……今、お前から香るから、だろうけど。」
「あたしの香水はシャネルだけどっ」
「ジェジュンの匂い、つけてんじゃねえよっ……」