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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月
焦ったルイ君によって、一分も経たない内に引き剥がされた私達。そりゃ、彼からしたら英語でイルトが何か言ってるわ、抱き締めてるわ……そういう行動をして当たり前だ。
「撮影、どうしますか?」
「──ジェジュン、まだかかんのかな?」
スタッフさんから聞かれたジュンがメンバーに意見を求めていた。
「どーだろうな。でもこの時間に親父から電話かかってくるって事は何かしら有ったんだろ」
「もしそうなれば俺達、悠長にここで撮影してる場合じゃなかったりしてね。」
「なあ、お前らの親って何してんの?デビュー前なのに揃いも揃って、全員が良い暮らししてるみたいだけど」
「……。」
私の聞きたかった疑問を、まるでボディーガードの様に隣から離れないルイくんが聞いてくれた。
「マネヒョンから聞いたけど、お前ら会社の用意した宿舎が狭いって理由で割り勘で、その横のタワーマンションに引っ越したんだろ?」
「タワマンの宿舎なんて、まあ無いぜ」
「会社経営っすよ、俺達は幼馴染みなんで親同士のグループとか業界の繋がりっす」
「アリー、お前の親って韓国人なの?」
「いや──まあ、正式にはロシア人ですね。だから父親が住んでるのはロシアです。」
「で、グループってこと?」
「親父の会社の協賛会社が韓国なんすよ。それで、まあ母親も韓国人だし、こっち来て生活して……幼稚園でこいつらと出会いました。」
「なるほどな、そりゃ金持ちで当たり前か。」
「──でもさ、」
ルイ君の納得をぶった切るのは私の声だった。
「あの帝国のテヒョンが、それを知らないってあり得るの?普通なら、そんな大きい会社の息子とかだったらテヒョンも把握してそうだけど」
「……あの人は、どこまでいっても婚外子だろ。だから大人になってからの財閥令嬢とかしか知らない」
「ああ、そういう事か。確かに婚外子として生まれてるから、昔からその界隈で幼馴染みだの友達だの言ってたわけじゃないもんね。」