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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月

「そういうこと。ヒョンが帝国で働き出した時は、もうリサと結婚してたし周りの人達の子供も大人になってる訳だし」

「十歳の我が子の話はしても、二十歳そこそこになった子供の話はしないだろ。」


「なるほどね、もしかしたらあんたらのお父さん達も言う必要ないって思ってるかもしれないしね。」

「まあ、そうじゃないとデビュー前なのに、ティファニーやらクロムハーツやらじゃらじゃら付けれないわな」

子が可愛いんだろう、というか甘やかしているって表現でも良いかもしれない。

──あの時のダイナースカードは結局1円も使われていなかった。となれば、各自自分のカードであれだけのブランドを買ってたってことだもん。

それだけの限度額のあるカードを子供に渡してるんだから、もしかしたらウチよりも金遣いが荒いかもね。

「……悪い。」

立ち話に花が咲きそうだった、その時。

ゆっくりと戻ってきたジェジュンの姿が見える。


真っ先に寄って行ったリーダーは、どこか不安そうな顔をしている様にも思えた。

「何だって?」

「──宿舎帰ったら詳細話すけど、色々とややこしいかもな。」


「って事は、絶対に俺のところにも電話くるってこと」

「ああ。必ず、な。」


「なになに、実家が破産するとかじゃないでしょうね」

「そんな感じだよ。もしそうなったらテヒョンさんに買い取ってもらわないとな」

明らかに流されたと分かる。……私のカマも虚しく、ジェジュンは口を割ることがなさそうだ。


「とりあえず撮影、さっさと終わらせちまおうぜ。下手したら俺達と親とで飯食うとか、なりかねねえもんな。」

「あー、有り得るね。」

自分達の中で納得したのだろう。

ぞろぞろと先ほどの定位置へ戻っていく五つの背中を、ルイ君と二人で不思議そうに見つめた。


……本当に破産って言うなら、私にだって力になれるかもしれないのにな。なんて言えばテヒョンにまた怒られてしまうだろうか?




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