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さらに近くてもっと甘い
第4章 家族の形
「真希様は、私のこと妹だって言ってくださるけどっ……でも、やっぱりいつかはあの家で出て、自立しないと…」
なぜ、自分には想像も付かないような境遇だったのに、こんなにも真っ直ぐなのだろう…
弱くて、守ってあげたいと思うけれど、本当は愛花の方が自分より何倍も強い。
そう思いながら浩平は黙って愛花の言葉を聞いている。
「高校まで行かせてもらって……。春からは専門学校にまで…」
一瞬、ギュッと目を瞑った愛花は、顔を上げて浩平を見つめた。
「ご主人様はいいっておっしゃってたけどっ……やっぱり自分で学費を払って、早くあの家を出ることにする…!」
重大な決意表明。
そして突然のその発言に浩平は目を丸くした。
「そんな……学費とか、家とか、どうすんだよっ…」
「お金ならずっと貯めてたから…」
「で、でも…」
「私…自分の力で立ちたいのっ……」
「っ………───」
大きな瞳に月が映る。
浩平はそれに吸い込まれるようにして見入った。