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さらに近くてもっと甘い
第5章 社長様、発熱中


「光…瑠さん……?」





ギュッと手を握ったまま何も言わなくなった彼に首を傾げる。


うわ言だったのかな…?


もう一度呼び掛けようか迷っていると、後ろから突然長い腕が現れて、えっ…と声を上げた。



「マスクくらいして下さい───」



フワリと口に掛けられた布。


振り返ると片眉を上げて私のことを見つめる要さんがいた。




「うつったらどうするんですか…?」



「すっ…すみません……」




慌ててそのマスクを抑えて、紐を耳にかける。



確かに、マスクくらいはしないと。



光瑠さんが心配でそこまで考えが及ばなかったのは母親失格だ。


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