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さらに近くてもっと甘い
第7章 奥様の誕生日
上手くいかない。
チッと舌を打った光瑠は、バン!!と調理台に両手を付く。
俺の名前はっ…
有川 光瑠…有川 光瑠…有川 光瑠……っ
そう自分の名前を唱えて、出来ないことはないと自分に言い聞かせたあと、顔を上げる。
が、目の前に広がっている惨劇に、本当にそうだろうか…と不安が募った。
「ご主人様…?あの…やはり私たちがやりますから…ご主人様は飾り付けを…」
愛花がそんな光瑠を励ますように近付く。
はぁ……と息を吐いた光瑠は、調理のために置かれていたブランデーの瓶を掴むと、コクコクと飲んだ。
トン…と調理台に瓶を置いて、口元を拭う。
「いや……それじゃ意味が無い」
ここで諦める訳にはいかない。
全ては真希を喜ばせたくて始めたことなのだ。
「分かりました」
クスクスと笑った古畑が、メイドたちを集結させる。
「丁寧にお教え致しますので、もう一度ゆっくりやりましょう」
古畑の言葉に光瑠は頷くと、深く息を吐いて再び気を引き締めていた。