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さらに近くてもっと甘い
第7章 奥様の誕生日
「光瑠さん、料理……したことないでしょ?」
クルと首を回してひどい有様の調理室を眺める真希。
「……ない」
ある訳がない。
光瑠は、この世に生を受けたその日から有川家の主人で、有川商事の社長になることが決まっていた、そういう人物なのだ。
料理は、使用人がやるもの。
座っていれば出てくるものでしかない。
「その光瑠さんが、私のために…初めて料理してくれようとしてるんですよ?」
「……まぁ…」
何度も言うが、実際は荒らしただけでまだ何も出来てない。
「1番嬉しいに決まってるじゃないですか……」
至近距離で、真希が微笑む。
そして、少し屈んでいる光瑠の首に腕通した。
「ありがとうございます…」
「……っ…………」
「私……本当に今……すごく幸せです────」