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さらに近くてもっと甘い
第10章 一番近くに
「愛花がいいなら……」
「私は…そうして欲しいからっ…」
前を歩く愛花。その首までが紅くなっているのを見て、浩平は頰を掻く。
クタクタだったというのに、期待から、体が少し熱を持ち出す。
家の鍵を開けようとしている愛花も同じように心臓を高鳴らせていた。思っている事は素直に伝えたい。
それに、逆に伝えて欲しい。
浩平くんは…本当にこのままでいいと思っているんだろうか…
「愛花……」
「っ………」
鍵を開けようとしている愛花の手の上に、浩平は自分の手を重ねた。
取り払った邪念がまた、浩平の頭の中を占拠している。
「無理してねぇよな…?」
「………し…てない…」
「なら…いいけど…」
足りない言葉。
その意味を探りながら、愛花は扉を開けた。