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さらに近くてもっと甘い
第11章 社内恋愛
決して要領が良いとは言えない先輩。
でもその微笑みは天使にしか見えない。
……あぁ…どうしよう…
確実に…俺……
田部先輩に恋してる────
「これ、どこまで運ぶの?」
「へっ…あっ…えと……」
呆けていた幸太郎はハッとして辺りを見回す。
奥の会議室の札を目を細めて見つめる。
どこだったか……それを思い出そうとしていると、加奈子はそんな幸太郎の様子を見て、ん?と首を捻った。
「幸太郎くん……メガネ新しくしたんじゃないの?」
「あっ…いや……これ、前のやつでっ……」
「あーそうなんだ。なんか、度が合ってなさそうだけど……買わないの?」
「買いたいんですけど……給料日前で…」
なるほどねぇ…と加奈子は言葉を漏らす。
分かる分かる、と頷く。
上京して、初めての一人暮らしで何かとお金がかかる時期だ。
思いもよらぬところから、色々な請求がきて、そのまま払っていたら気付いたら財布はすっからかん…なんだよねぇ。