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さらに近くてもっと甘い
第11章 社内恋愛


激しく…とか言って…いつも通り優しかったくせにっ……



「だいじょうぶです…っ…」


「そう。良かった」



ポンと布団の上に手を乗せた要は、チラとサイドテーブルに置いたコーヒーを眺める。



「加奈子、コーヒー冷めるよ?」


「………っ…」


「ほら、潜ってないで、顔見せて」



こんなにもスルスルと、甘いセリフを吐いても似合ってしまうのは、きっと彼だから───


躊躇いがちに、目だけを布団から出した加奈子は、ニコニコと微笑む要をじっと見つめる。



「……おはよう」


「おはよう…ございます」



言葉を返して再び潜ろうとする加奈子を見て、ん…と要は声を漏らす。


いつまで経っても照れている姿を見るのは楽しくもある。が……



「もっと顔見せて」


「っっ……」


「……それじゃあキスが出来ない」



布団の中で、ギュッと体を縮こませた加奈子は、ゆっくりと顔を出す。


寝起きの顔はあまり見せたくない。


でも、こんな風に言われたら……



「……ありがと」


「んっ……」



優しい、触れるだけのキス。


微かなコーヒーの味───



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